情報アーキテクチャ学科 情報システムコース / 帯広緑陽高校卒(北海道)
楽譜の単旋律から作曲者が誰なのかを推定するという試み
暗意実現モデルに基づく作曲者らしさ識別
幼少時からピアノを習っており、音楽大学への進学も考えていましたが、 オープンキャンパスで平田研究室の展示を見て、音楽と情報を結びつけた研究ができる未来大へ進学しました。
卒業研究は「暗意実現モデルに基づく隠れマルコフモデルによる作曲家識別」というテーマ。わかりやすく言うと、人工知能を用いて楽譜のシンプルな単旋律から作曲者を推定するもので、将来的に演奏者が音楽を理解するための支援に役立つと考えています。現状では、バッハと現代ロシアの作曲家といった、年代的にも地理的にも離れた作曲家同士の場合は識別可能となっています。しかし、差異が小さいバッハとベートーベンでは識別が難しく、この精度を上げるのが課題です。
子どもの頃からずっと続けているピアノを活かして、学部生時代から音楽をテーマにした研究を続けています。 卒業研究は、人工知能で楽譜の単旋律から作曲者を推定するという内容で、修士課程では、ピアノを弾く音をコンピュータが診断して、今楽譜のどこを弾いているかを推論する演奏追跡のシステムに取り組んでいました。 修士1年の時に発表した学会で、音楽関係の企業の方から共同研究のお誘いがあったことがきっかけで、より高度な研究のために博士課程に進むことを決めました。
今は、コンピュータで音楽を表現する方法と人間の感じ方のギャップを埋める研究をしています。例えば10音から構成されるメロディーを、コンピュータはそのまま10個の音のイベントとして表現します。一方で人間は、一つ一つの音を聞いているわけではなく、その関係性やフレーズを意識しながら聞いています。 私は、そのギャップを埋めるような音楽の表現方法を研究しています。 例えば演奏者が自動伴奏を利用する際に、AIが演奏者の意思を汲み取って伴奏のテンポを変化させられれば、より自然な演奏ができるようになると思います。
一つの研究テーマにじっくりと取り組めるのが大学院です。修士課程では、学部に比べて授業の数が約半分に減るので、残りの時間は研究に充てられますし、博士課程になるとほぼ研究のみの毎日です。 時間に余裕があるぶん思い切ったチャレンジもできますし、より高度な知識や技術を身につけることもできます。